スカラベは、創造・復活・不死の「シンボル」
紀元前5世紀の頃のギリシャ・ローマ文化では、甲虫(スカラベ)をかたち取った背中の丸い「印鑑」が広く用いられていました。
はじめは神々の姿をモチーフにしたもが多く見られますが、次第にギリシャ・ローマならではの感性や美意識を反映したエロスやアフロディテなども出現してきます。これらの印鑑はインタリオと称され、貴石などに陰刻で描かれていました。
やがて、ローマ時代になるとカメオと呼ばれる陽刻も多用されるようになります。その多くは装飾としての意味合いが強く、当時の名工たちによって数多くの作品が創り出されました。
インタリオもカメオも共に際立つ芸術性を誇り、その後の世界の「印鑑」の文化に大きな影響を与えていきます。
スカラベがなぜ?
スカラベとは、ファーブル昆虫記で有名なタマオシコガネ(フンコロガシ)の事です。このスカラベは自分の卵を産み付ける為、フンを転がして丸めます。
古代エジプトでは日輪の回転を司るケペラ神(太陽の神)の化身として崇められておりました。
当時の人々はスカラベを創造・復活・不死のシンボルとしてひたすらあがめ、4千年も前からさかんにスカラベの護符や装飾品を飾りました。そしてそれらはエジプトの各地からおびただしく出土しています。