古代中国でも「印鑑」は、やはり神聖であった。
古代中国で「印鑑」が歴史上に登場するのは、紀元前11世紀の殷の時代です。
大小の銅印がつくられ、神聖なものとして崇められました。官印の他に私印も生まれています。漢の時代になると粘土で封印した上に押す形式の印鑑も用いられるようになっていきます。
地位や権力の象徴としての「印鑑」
また、この時代に印制が発達し、印すための「印鑑」ではなく、地位や権力の象徴としての「印鑑」が誕生します。これを象徴するのが日本に贈られた「漢委奴国王」の金印です。これらの印は文面の他に材質や印に付けられた紐(綬)の色にまで細やかな決まりがあり、それぞれ位や禄(俸給)を表していました。
外交の贈答品としての「印鑑」
ちなみに、印綬とは印それ自体だけでなく紐も含めたものを意味しています。これらは、「漢委奴国王」の金印が示すように、中国国内だけでなく異民族の外臣(従属する国々の王など)にも贈られていました。卑弥呼の金印も同様であったと考えられています。